O'bon Paris Blog

フランス在住に役立つ情報&パリの暮らしを現地からお届けします:)

フランス外出制限開始から約一ヶ月、パリの今

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世界を揺るがしている新型コロナウイルス
一パリ在住者の個人の目線で今までの一ヶ月間を振り返ってみたいと思います。

  

私自身、フランス在住4〜5年ほどで、現在はオボンパリという観光情報サイトを運営する会社で働きながら、パリでフランス人パートナーと暮らしています。そんな二人暮らしでの自宅待機生活や個人的に見たこと、思ったことを綴っていきます。
緊急事態発表と外出制限を始めた時の感染者数で見ると、フランスは日本よりも早く対応したと言われています。そして、外出制限はフランス全土で、厳しく行われていることも日本との違いですが、今後どのように状況が変化していくのか、一つの参考になればなと思っています。


外出制限開始決定まで

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いよいよフランス全土で感染拡大が広がり、数回に渡るマクロン大統領やカスタネール内務大臣のテレビ演説が行われました。まず、実際に外出制限が開始されるまでの政府の対策をざっと発表された時系列でまとめてみました。

 

3月12日 :

全ての学校や託児所の閉鎖、高齢者の自宅待機要請、テレワークの推奨。

 

14日 :

フランスの感染拡大の加速(感染者4,499人,うち91人死亡)を受け、国内の感染状況を最高レベルの「ステージ3」に引き上げ。14日24時からスーパー等の食料品店のような生活に必須な商店やサービス以外は閉鎖。それ以外のすべての場所レストランやバー、劇場などは営業できなくなります。家族や友人間での集まりを制限すること。そして、不要不急の外出自粛の要請。

 

16日と17日 :

17日正午から15日間、不要不急の外出禁止、ロックダウンを実施。この外出制限では、生活に必須な買い物、スポーツ、テレワークできない仕事のための通勤、脆弱な人を助けたり家族のための外出のみ、専用の証明書を自筆して携帯することで許可されます。違反した場合は罰金。友人、家族との集まりも禁止。ヨーロッパ圏、シェンゲン加盟国への他国からの入境封鎖。
経済面は,税金及び社会保険料支払いの延期,銀行の貸し付けの返済期限の繰り延べ,国による3000億ユーロを上限とした保証。危機に瀕する小企業に関しては,税金,社会保険料,水道・電気・ガス代金,賃料支払いも延期。また,部分的失業の拡大,起業家,手工業者,商人のための国による連帯基金の設立。


中国の武漢での完全なロックダウンの映像を見ていたので、これはいよいよ一歩も出られなくなるな〜なんて構えていたら、フランス人の対応は全く違うものでした!!

バーやレストラン前夜には最後のバーや外出を楽しもうと街や公園に人があふれかえる始末。外出制限が掛かる前に地方の実家に帰るパリジャンたちが駅に押し寄せる映像もニュースで放送されました。スーパーには人が押し寄せ、長蛇の列。保存食やトイレットペーパーなどの買い占めで商品棚はガラ空き。私たちは元々、パスタやソースなどは少しまとめ買いしていたのですが、生鮮食品は買い足さなければいけないし、心配と不安がマックスに。


外出制限1週目 状況に自分を適応させていく

感染状況(3月17日火曜) :

フランス全土で1日で新たに1,097人の感染者を確認し,合計感染者数は7,730人。死者は27増え175人。地域圏毎の感染者は多い順に,パリを首府とするイル・ド・フランス地域圏(2,177人),ストラスブールを首府とするグラン・テスト地域圏(1,820人),リヨンを首府とするオーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏(706人),リールを首府とするオー・ド・フランス地域圏(612人)。

 

社会 :

この頃は毎日刻々と政府の対策が追加され、感染状況も目まぐるしく変わっていくので平日も週末も四六時中ニュース番組に食いつく日々。

救急車を呼ぶ人々が激増し、新型コロナウイルスの疑いがある症状が出ても、すぐには救急車を呼ばないように呼びかけが行われました。感染したかも?という場合は、オンラインで一般医のビデオ診察を受け、PCR検査などは受けず自宅療養。呼吸がしづらいなど重症化した場合は、またお医者さんに連絡して救急車を読んでもらうような流れになりました。

病院でも街でもすでにマスクがない状況。呼吸器や人員も足りず、政府は軍のテントを設置してベッド数を増やすとのこと。

また、外出制限開始に伴い、家庭内暴力が急増しています。そういった被害を受けている方を保護するため、通常は電話で被害者が通報するのをSMSで可能にしたり、薬局でも受け入れるとのこと。

 

街 :

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未だに外出制限開始後2日目でもマルシェに人が多く集まり、いつもどおりのパリの風景に。人が密集しているの映像が、一部のフランス人の意識の低さが明らかになって残念。やっぱり自由の国フランスでは難しいのか、、?

フランスでは新型コロナにイブプロフェンを投与すると重症化しやすいと言われ、薬局ではパラセタモール(アセトアミノフェン)の解熱鎮痛薬の買い占め行動も。それによって、痛みや熱がある人は2箱まで、症状がない人は1箱までに限定されました。

 

仕事 :

仕事はテレワークに。ずっと家にいるので、仕事を離れるのがちょっと難しい状況。なんだかんだで遅くまで仕事を続けてしまいます。

 

暮らし :

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スーパーは買い占め行動で棚がガラ空きでしたが、少しずつ補填されています。食事は外食はできず、Uber Eatsなどの配達も念のためやめることに。自宅にいられるので料理を少しこったり、健康を考えながら丁寧な暮らしを心がけています。
日本食スーパーが家から離れているのですが、配達をお願いできるのが本当にありがたい。 

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空き時間には、オペラ・ド・パリのオペラやバレエの無料配信動画を見て過ごしました。動画はこちらから見ることができますよ !


Ce ténor chante de l’opéra à la fenêtre pour ses voisins à Paris

危機感がまだまだ低く外出してしまう人もいますが、しっかり自宅待機しているフランス人もたくさん。さすがは「アール・ド・ヴィーヴル」の国、自宅待機もバルコニーで楽しむフランス人が沢山います。上の動画はプロのテノール歌手が、窓を開けて歌声を披露しているもの。周りの人を気遣い、元気にしてくれる彼は素敵だな〜。

 

メンタル面 :

外出制限初日から一部で、毎日20時の医療従事者への拍手が始まりました。2日目には私の住んでいる通りでもこのオマージュが始まり、毎日の習慣となりました。毎晩20時が、フランス全土の大きな愛を感じる時間となりました。

 


2週目 ストレスがマックスになり急いで対策を

感染状況(3月24日火曜) : 

フランス全土で新たに一日に2,444人の感染者を確認し,合計感染者は計22,300人。死者は240人増え計1,100人。10,176人の感染者が入院し,2,516人が重篤。オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏内の感染者数は、119人増えて計1,738人。
 

社会 :

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感染者数は急速に伸びていきます。特にパリを含むイル・ド・フランスでは増床したベッドも数が足りず、患者を他の地方に移送しているニュースを見ました。高齢者施設でクラスター感染が急増しています。それを見て本当に医療現場の方々を救うためにも、自分がかかっては行けない、外に出ては行けないな〜と思う日々。

それとともに、社会的に見ても家庭内暴力が3割増加していて、大きな問題になって来ました。

そして、先週人が密集してしまったマルシェは例外を除いて閉鎖。


街 :

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生活必需品の買い物に行ってみたのですが、薬局ではマスクや手指消毒ジェルは未だ品切れでした。

スーパーも薬局も、「社会的な距離」を保つべく、お客さんの立ち位置がテープや商品棚でマークしてあります。けれども、パリ市民一人ひとりの意識も高くて、マークが無い場合でも外でも皆間隔を開けてきちんと列に並んで待っています。メトロの駅でも並ばないフランス人がこんなにきちんと並ぶなんて、感激!!

他にも、狭いお店などでは一度に入店する人数を2人までに制限したり、全員で「社会的距離」を取ろうと意識して取り組んでいます。こういうフランス人の団結力には脱帽です。

 

仕事 :

引き続き仕事はテレワーク。2週目は、スタッフたちも皆ストレスでお疲れモードで、ほんの小さな問題が大きな地雷に。いつもなら絶対見ないような攻撃的なメッセージが上がったりと、皆いっぱいいっぱいなのが見て取れました。
というわけで2週目からは毎週スタッフ全員でオンライン会議を行うことに。顔を見ながら話すだけでも、繋がりを感じられ、少し心が穏やかに。

 

暮らし :

フランス人パートナーとも小さな喧嘩が続きがちに。というより彼はいつも通り仕事を楽しんでいるようで平気そうでしたが、私が小さなことにイライラ。
外食にも配達にも頼らず、毎日献立や食料の備蓄具合を考えたり、洗い物だったりが大きな疲れの原因に。ということで料理を頑張ることはやめ、いつも通りのメニューを作ることに。笑
1週目は私が全て作っていましたが、2週目からは彼と分担することに。食べたいものがある方が作る、もう一方が洗う。もしくは余裕がある方が担当する。フレキシブルに、お互いに助け合いながら乗り越えることに。

 

メンタル面 :

最新情報を得るためにつけているニュース番組が、不安や心配な情報ばかりでそれがストレスに感じられたため、ニュースをつける時間を限定することにしました。

この頃から日本でも新型コロナウイルスの感染者が急速に増加してきて、とても心配に。特に有名人も犠牲になってしまったり、より一層身近な病気に感じられました。

心を穏やかにするのに一番効果的だったのがヨガ。やっぱり体を動かすのって素敵。

パンデミックが始まって以来次々とネットフリックスに追加されるジブリ映画に浸るように。同時に、日本にいる家族や友人ともより頻繁に連絡を取り合うようになり、日本を感じられる大切な時間を意識的に作るようになりました。


3週目 落ち着いた心を保つ

感染状況(3月31日火曜) : 

31日(火),フランスでの感染者は一日で7,578人増え52,128人,入院者数は1,749人増え22,757人,うち重篤者は458人増え5,565人。死者は499人増え計3,523人,自宅待機者は3,810人増え16,404人。
 

社会 :

3週目は、フランスの感染者数は5万人を超えています。毎日の新しい患者数も未だピークは迎えられていません。しかし、重症化する患者数は増加というより平行線。
当初15日間の外出制限は、予想通り延長になりました。

 

街 :

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写真は友人に送ってもらったもの。春の温かなお天気につられ、多くの人が外出しています。パリでは日中(10:00-19:00)のスポーツ目的での外出が禁止になりました。そのせいで、逆に19:00以降のセーヌ川沿いや公園ではジョギングする人が密集してしまう結果に。

 

暮らし :

週末はちょっと体調を崩して、一般医(généraliste)のビデオ診察を受けました。利用したのはDoctolibというオンライン予約サイト。現在ではこのDoctolibのサイト一つで予約から診察、支払い、処方箋の受取までできるので、とっても便利。ただ、保険だけはお医者さんから処方箋と一緒に書類(feuille de soin)が渡されるので、それを自分で保険会社に送らなくてはなりません。
パソコンの画面上でお医者さんの顔を見ながら相談ができるので、それだけでもすごい安心感!!

また、オルセー美術館のバーチャル見学ができるサイトがあるので、それを見ながらおうち時間を満喫したりもしていました。オルセー美術館のバーチャル見学はこちらから

 

メンタル面 :

日本の緊急事態宣言や、それに付随するべき保証や休業要請、医療現場の逼迫など、本当に心配に。

家にいるだけではいてもたってもいられなくなり、他に自分にできることは無いかな、と考えるように。寄付できるほどの余裕はないけれど、何かの役に立ちたい。そんな時に見つけた、パリで大気汚染が減り、自然が喜んでいるというニュース。

もっと地球のために何かアクションを起こしたくなり、前からジリジリ燃えていた私のエコ熱にまたエンジンをかけることにしました。環境保護のため、ゴミの分別をもっとしっかりしたり、ペットボトルの水を買うのを止めて浄水器にしたり、選択と食器用洗剤をエコサートマークがついたものに変えてみたり。まだまだ完璧ではないけれど、少しでも貢献したいなと思っています。


4週目 少し希望が見え始める

感染状況(4月7日火曜) : 

7日(火),フランスでの感染者数は3,777人増え78,167人。入院者数は305人増え30,027人,うち重篤者は59人増え7,131人。病院での死者は597人増え7,091人,高齢者要介護施設での死者数は820人増え3,237人,よって,国内の死者は1,417人増え10,328人。
 

社会 :

一日あたりの新しい感染者数はあまり変わりありませんが、新しい入院者数は減り、病院が少し落ち着いてきました。一日あたりの新たな感染者数も減少傾向になり、やっと外出制限の効果が出て少し希望が見えてきました。この4週目、またマクロン大統領のテレビ演説が行われました。
マクロン大統領のテレビ演説で発表されたこと :
●外出制限 : 外出制限は5月11日までに延長。合計で2ヶ月弱は最低限外出制限が続く。
●学校 : 大学などの高等教育機関は夏まで遠隔授業。託児所や保育所、小中学校、高校は5月11日から段階的に再開。
●閉鎖中のお店・施設 : カフェやレストラン、バー、映画館、博物館などは5月11日以降も閉鎖。
●イベント : イベントや集会などは7月中旬まで禁止。
●検査・治療 : 5月11日から、感染が疑われる全ての人にテストを実施できるようになる。陽性だった場合は隔離治療を実施。5月11日から大衆用のマスクを配布。
EU国境 : 新たな決定があるまで閉鎖継続。

 

15日の報道では、様々な社会的保証が実施されると発表されました。

●アマゾン : Amazon.Franceは物流拠点で働く人を感染から守る労働条件に問題が。4月16日から20日までサイトを閉鎖。生活必需品のみの配達になります。
●医療関係者への特別手当 : 感染拡大地で従事している人には1500ユーロ、それ以外の地域では500ユーロを免税で支給。
●国家公務員への特別手当 : どうしても公共サービスを提供するために外出して働かなければならなかった一部の国家公務員に1000ユーロ支給。

困っている人、第一線で戦っている人たちに少しでも助けが届くようで、本当に良かった。この他にも医療従事者へケータリングやデリバリーで温かくて美味しい食事を届けたり、多くの人々が助け合っています。本当に、こんな状況下で働いている皆さん、ありがとう、ありがとう、ありがとう。

 

街 :

フランスではイースターのバカンスに入り、都市部から避暑地に行く人が急増。少し希望が見えてきたのに、心配は減らないのが現実です。

そんななか、イースター前の金曜日にはパリのノートルダム大聖堂内で、メディテーションのセレモニーが行われました。昨年4月15日に火災で大きな被害を負った大聖堂は、現在では工事の足場が外からも見えます。一般参加は、外出禁止措置でできないので、数人の聖職者とアーティストで執り行われました。テレビでその様子が生中継され、大きな傷を負いながらも未来へ向かい再出発を切ったノートルダム大聖堂の姿と、そこに響き渡るアヴェ・マリアの歌声は、フランス全土の不安や哀しみを受け入れ、分かち合い、癒やしてくれる感動的なものでした。


L'émouvante interprétation de "l'Ave Maria chanté" par la comédienne Judith Chemla

 上の動画がそのアヴェ・マリアの歌声。気になるノートルダム大聖堂内部の様子も見ることができるので、是非見てみてくださいね。

 

仕事 :

仕事はもちろんテレワーク。イースターが週末にあった4週目。毎年イースターの際には実家に帰るというフランス人の同僚は、今年は家族と一緒に過ごせないことを悲しがっていました。

 

暮らし :

今でも毎日夜20時の医療従事者への拍手が行われています。毎日窓をご近所さんの顔を見つけると「あ、今日も皆元気なんだな、良かった〜」とほっと安心します。

他にも友人に皆の過ごし方を聞いてみたところ、ヨガ、瞑想、ジョギング、料理、オンラインアペロ、ネットフリックスで映画、チェスやオンライン人狼ゲーム、任天堂スイッチ等ゲームが安定のお気に入りアクティビティだそう。

それから、友人たちの輪で面白いものを発見したらシェアしながら楽しんでいます。今週の新たな発見は、ディズニーランド・パリの夜のライトアップショーの無料配信。お子さんのいる方には特におすすめです。ストレスをすっかり忘れてしまう20分間です。

動画はこちらから

 

一ヶ月がたった現在(4月17日金曜)

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感染状況(4月7日火曜) : 

16日(木)20時の時点で,フランスでの感染者数は一日で2,641人増え108,847人。入院者数は474人減り31,305人,うち重篤者は209人減り6,248人。病院での死者は417人増え11,060人,要介護高齢者施設での死者は336人増え6,860人,よって,フランス国内の死者数は753人増え17,920人。

 

社会 : 

●アマゾン : Amazon.Franceは物流拠点で働く人を感染から守る労働条件に問題が。4月16日から20日までサイトを閉鎖。生活必需品のみの配達になります。
●医療関係者への特別手当 : 感染拡大地で従事している人には1500ユーロ、それ以外の地域では500ユーロを免税で支給。
●国家公務員への特別手当 : どうしても公共サービスを提供するために外出して働かなければならなかった一部の国家公務員に1000ユーロ支給。
●学校 : 5月11日から再開の予定ですが、状況を見ながら健康面を第一に考えながら判断される。遠隔授業で連絡が取れない学生が5%いたり、学習放棄を防止するのが課題のようです。

今、必死で身を削りながら働いてくれている人々に少しでも助けが届くように動いて、本当によかった
何度言っても言い足りない。こんな状況下で働いてくれる皆さん、本当に、本当に、ありがとう♡

 

まだまだ、日本も長期戦になりそうですが、どうにか必要な人に助けがいち早く届くようよう願っています。

一人ひとりが気持ちを強く持って「命を守る闘い」乗り越えていきましょう!!

フランスから応援しています!!

 

 

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