O'bon Paris Blog

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ゴッホの幻の絵画が16億円で落札!この作品の魅力とは?

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画像 : lemonde

 Bonjour !

先週の木曜、世界中のアート界に衝撃のニュースが!

なんと、フィンセント・ファン・ゴッホの未発表の絵画が、3月25日木曜にパリのSotheby'sでオークションにかけられました!

売り出された絵画は、1887年の「Scène de rue à Montmartre(Impasse des Deux Frères et le Moulin à Poivre)」。

約億と見積もられていましたが、最終的に16.7億円で落札されました。

 

というわけで今回は、この絵画の価値とは何なのか?この絵画のどこがすごいのか?を見ていきましょう!

 

ゴッホの温かな兄弟愛

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画像 : franceculture

この絵画は、46cm x 61cmの中型の油絵で、ミラボー・メルシエ家の競売人であるファビアン・ミラボーによると、 この作品はゴッホを象徴するような絵画だそう。モンマルトルの風車が描かれていますが、これはゴッホの故郷オランダの風車へのオマージュ。

 

そして、その前を横切る二人の兄弟は、ゴッホ自身と美術商をしていたその弟テオを象徴しています。フィンセントとテオの関係はよく知られている通り、とても強い絆で結ばれていました。1886年ゴッホをパリに連れてきたのもテオです。

 

弟テオと過ごしたオランダでの日々をモンマルトルの風車と兄弟の姿に昇華させたのでしょう。よって、この絵画はフィンセント・ファン・ゴッホの兄弟愛をよく表した作品と言えます。

 

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画像 : franceculture

この作品は1887年に完成したので、ゴッホがオーヴェル・シュル・オワーズで亡くなる3年前に描かれたことになります。この作品はテオに連れられてパリに来てから1年が経った頃に描かれ、ゴッホが幸せだった頃の作品だそう。弟と一緒に暮らし、パリの光を楽しんでいた時代。その喜びや楽しさが主題のチョイスからも見て取れます。

 

当時、カバネルやコルモン他の画家たちは歴史画や貴族などの肖像画などの、絵画のヒエラルキーの中でも上位とされるものを描いていました。しかし、この作品は風景画。風景画は絵画のヒエラルキーの中でも下位に属すジャンル。アカデミックな風潮にとらわれず、ただ純粋に自身が描きたかったものを描いた作品だということがわかります。それだけ創作意欲に満ちた、画家の想いを存分に表現した作品と言えます。


この作品が辿った歴史

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画像 : franceculture

この作品の面白いところは、作品そのものだけでなく、作品が辿ったちょっぴりミステリアスな歴史にもあります。この絵画はもともと個人コレクションとして、同じアパルトマンに100年間置いてありました。ただし、この絵画を買ったという記録はなく、おそらく1901年からゴッホの作品を展示・販売した最初のディーラーである、ベルンハイムから買ったものだろうと推測され、オーナーであった家族間でそう語り継がれています。ただし証拠は無く事実は迷のままです。

 

しかし、1920年にこの作品の存在が、写真と、20世紀初頭に制作されたゴッホの作品カタログに掲載された白黒の複製によって証明されています。これによって、アムステルダムゴッホ美術館によってこの作品がゴッホの真作であるとすぐに認められました。この作品が最初に、しかも写真で見つかった時の衝撃は、それはそれは大きなものだったのだそう。

 

その後この絵画が公開されること無く、2021年、100年の時を経て初めてオークションに売り出され、日の目を見ることになりました。

 

ちなみに現在、他に個人コレクションとして所蔵されているゴッホ作品はとても数少ないのだとか。特に今回の作品ほどのクオリティのものはそうありません。他のほとんどの作品は、アムステルダムゴッホ美術館やパリのオルセー美術館のものとなっています。

だからこそ、今回のオークションはゴッホの作品の歴史の中でも非常に稀有で、注目スべきことなことなのですね。

 

まとめ

とっても貴重なモンマルトルの芸術家達による作品で、さらに100年以上も個人コレクションとして美術館でも公開されなかった幻の絵画。

2021年の世界中のオークションに登場する作品の中でも最も重要な作品の一つで、特にフランスで今年売りに出される作品の中では一番でしょう。

美術館も劇場もコロナの影響で閉鎖とされている中、このようなビッグイベントが文化界で起こることが、このオークションの重要な点でもあります。

このイベントが、今後の文化界の復興への最初のステップとなりますように!

 

 

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