メトロのチケットの歴史!パリのアイコンの変遷!
写真 : France Bleu
Bonjour !
パリのメトロやRERを運営するRATPは、10月14日からチケット10枚綴りのカルネの販売がなくなります。
2022年内には紙のチケットを完全に撤廃する予定で、今回のカルネの撤廃はそのステップの一つです。
今後はNavigo EasyやNavigo Liberté+、またはスマートフォンにに料金をチャージして使う形になります。
カルネは、2019年から紙のチケットからカードなどへの以降を促すため、値段が2ユーロ引き上げられていました。
現在では、上記のカードで10回分を購入する際に、もとのカルネの値段である14,90ユーロで利用することができます。
カルネではない通常の紙のチケットは、2022年までは購入できるそう。ただし、今後こちらも値上げされる可能性があります。
ポケットにチケが入っていると、「あ、ポケットにパリがいる😊❤」となんだか嬉しくなってしまう、パリ旅行の思い出アイテム。
環境のことを考えると次のステップに移行するのは嬉しいけれど、やっぱりそんなチケがなくなってしまうのはちょっぴり寂しい!
というわけで、今回ははちょっと気になるチケの歴史を調べてみました!
チケットの歴史
写真 : histoireduticketdemetro
パリのメトロのチケットが生まれたのは、1900年7月19日。これは現在のメトロ1番線である、CMP(Compagnie des Chemins de Fer métropolitain de Paris)という会社パリで最初の地下鉄のオープンとともに歴史が始まりました。
当時は3種類のチケットがありました。それぞれ違う色で、ピンク色はファーストクラス用の20サンチームのチケット、クリーム色はセカンドクラス用の15サンチームのチケット、緑色は往復用で20サンチームのチケット。
当時から1回分チケットと10回分のカルネがありました。
写真 : histoireduticketdemetro
1910年、CMPとはまた別の会社による、南北に走る地下鉄路線ができました。これは現在の12番線(Mairie D'Issy-Porte de la Chapelle間)と13番線の一部。チケットはグレー色で、価格設定は先程のCMPと同じでした。1930年にはこの南北線はCMPに買収され、19年後にチケットが初めて値上げされ、5サンチーム上乗せされました。その頃にはすでに10本ものメトロの路線がありました。
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1925年からは、定期的なチケットの値上げに備え、「運賃アルファベット制」を導入。それによって、値段が変わるたびにA、B、C、D、とチケットに書かれているアルファベットが変わります。このタイプのチケットは1970年代まで続きます。
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第一次世界大戦の退役軍人の協会からの圧力で、アルファベットがDに変わった際に、特別に戦争で負傷した方用の特別料金が設置されました。Dチケットの料金はファーストクラスは1,15フラン、セカンドクラスは70サンチームで、戦争で負傷した方は60サンチームでした。
写真 : leparisien
メトロの利用者が増え、チケットが企業の広告塔に。
1939年には路線の数が14本になり、その頃からナチスドイツによる占領の影響を受けます。紙の使用量を減らすために10枚綴りのカルネを廃止します。その代わりにできたのが5枚綴りのカルネで、その1枚1枚が2回分乗車できる券になっています。
写真 : histoireduticketdemetro
1941年には、メトロ利用者が10億人を突破します。この急激な乗客の増加は、自家用車やバスの路線がなくなったことが主な理由です。1941年8月には往復チケットは廃止され、12回分乗車できる「ウィークリーワークカード」ができ、10ユーロで発売されました。メトロは暗黒時代を迎えます。ヴィシー政権下で、ユダヤ人がファーストクラスのチケットを購入するのが禁止され、列車の一番うしろの車両にしか乗れなくなります。
1946年には乗客数が15億人を超えます。これは記録的な数字でした。乗客の増加を受け、席数を増やすためにファーストクラスを一度廃止します(その後すぐにファーストクラス復活)。1947年のチケットの価格は5フランでした。
写真 : leparisien
1948年にはベビーブームの影響で、大家族向けの割引料金が作られます。
1968年からは、現在のようにメトロのチケットでバスも利用できるようになります。
写真 : histoireduticketdemetro
60年代後半からは、磁気バンドがチケットに付けられ、1973年の10月からは改札が機械に変わります。
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1975年からは、フランスでは有名なオレンジカード(Carte Orange)が発売されます。オレンジカードは、一定の価格で、決められた期間内はイル・ド・フランス内なら乗り放題の乗車券です。このカードは2010年まで使用されます。
1980年メトロのファーストクラスが廃止となります。
写真 : leparisien
2001年からは、最初のNavigoカードが発売され、乗車券の電子化が始まります。現在のように、一般向けの定期券や学生向けの定期券がNavigoにチャージできるようになります。
2003年からはTicket Tにチケットが変身を遂げ、メトロ、バス、RERに使用できるようになります。2003年の8月1日からチケットは1ユーロになり、メトロ16路線を利用できるようになります。
写真 : histoireduticketdemetro
Tiket Tは2007年まで使用され、その後現在のTicket t+としてバスなどの乗換えには使用できなくなります。
この頃のチケットの注目すべき点は、イベントごとに特別版チケットが販売されていたこと!
写真 : histoireduticketdemetro
初めて1番線で車両の自動運転が開始された時。
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フランス革命から200年記念。
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14番線オープン初日。
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世界若者の日(Journée Mondiales de la Jeunesse)。
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2011年音楽の日 (Fête de la musique)。
そして2019年、ついにNavigo Easyが発表され、長い長い紙のチケットの歴史に終止符を打つことに。2021年10月14には紙のカルネが、そして2022年には紙の1回分チケットが、販売終了となります。
Navigo easyは、カード代が2ユーロで、駅改札窓口などで購入することができます。チャージは、窓口や駅のチケット販売機、もしくはスマートフォンのアプリで可能。Navigo easyにチャージできるチケットは、1回分チケット、カルネ、1日パス(Mobilis)、空港までのバスチケット(ロワシーバス、オルリーバス)の5種類です。
Navigo easyの他に、Navigo Découverteというカードも有り、Découverteの方は1日パス(1-2、1-4、1-5ゾーン)、1週間パスの2種類をチャージすることができます。
おわりに
少しずつ変わってきたメトロのチケット。デザインもおしゃれなものが多い印象です。特にイベントごとに特別版デザインが出るのは、RATPらしいな〜と好感が持てます。フランス特有の団結を感じます😊
長年愛されてきたチケット。現在売っているチケットは、今後パリの歴史を物語る貴重な物として価値が上がったりするのかもしれませんね。